薔薇にゅーすさんから、連れ込み盗撮映像です。
今やビデオカメラなんて、子供のお年玉程度で買える値段にまでなってますね。
僕がそんな子供の頃、ビデオカメラはとりあえず一家に一台レベルにはなってましたが、今みたいに誰でも持ってるってほど重要なアイテムじゃない時代でした。
少なくとも我が家では父親が「カメラで充分、映像なんて必要か?」というような人でした。
さすが昭和10年代生まれの人は気合いが違う。趣味の問題に必要・不必要で論じるなど、よっぽど不粋な人間じゃないと言えない。
ただ、父親はカメラが好きな人だったので、家には数々の写真があります。
子供たち(僕らね)の写真もあるけど、旅行に行っては風景をとるのが好きだったんですよね。
父親は数年前に死んじゃってるんですけど、僕の家には遺品である一眼レフのちょい高級なカメラが、多分どっかにあります。家のどっかにあります。こんな技術が無いと使えないようなもの、具体的にどこにあるか見当もつかないけどどっかにあります。
そんな父親写真集の中に、特に父親が好きだった写真、そこには僕が映ってます。
幼稚園の運動会、かけっこで僕が走ってる写真です。
なんだなんだ、散々な言われような父親だけど、子供の写真を大事にしてるなんて良い父親じゃないかと思われがちですが、全然違うのです。
僕が幼稚園のころ、運動会を前日に控えた夜、父親がこう言います。
「明日、『よーいドン』の『よーい』で走れ。きっと一位になれるぞ」
そりゃそんな大胆なフライングすれば、亀でも一位になれるわ。
で、まだ幼稚園で純粋な僕ですので、それが不正だとは夢にも思わず、そうか一位になりたいから『よーい』で走ろうと普通に思っちゃったわけですね。
そして見事、僕のアルバムには。
「横一列に園児が並んでる中、一人走りだしてる僕(保育士の先生の驚く顔もアリ)」
「当然、ぶっちぎりで、後続の姿が全く見えずにゴールテープを切る僕(父兄の皆さん、ごっつ笑ってる)」
の、2枚の写真があるのです。
幼稚園の運動会で正式な競技でも無いから、もういいやって事で大胆なフライングがあったけどスタートラインにいた他の園児も、そのままスタートさせたんでしょうね。
こんな赤っ恥かかされただけあって、幼稚園の頃なんてほとんど憶えてないけど、これだけは鮮明に憶えてる。
父親の隣にいた母親によると、どの父兄の方々よりも父親が一番笑ってたんですって。いや、死ねよ。死んでるけど。
自分の子供に恥かかせておいて、よく抱腹絶倒してられるなと。
そんな我が家の、思い出の写真は笑いで震える手で収められず、仕方なく母親が撮影したものです。
お前の一番好きな写真、お前が撮ったんじゃないんかい。